リハビリテーション

リハビリテーションの基本

近年のリハビリテーション医学の進歩に伴って、有効な神経リハビリテーションの条件が明らかになってきました。その条件は下記のとおりです。

  1. 目的や意味があり、やる気が出る課題を設定する
  2. 重要性が高いことから行う
  3. 適切な負荷と回数を与える
  4. 集中して行う
  5. 個々の状態に応じたオーダーメイドの方法を用いる

私たちはこれらの原則にのっとり、お子さんには遊びの要素を取り入れ、大人には生活や仕事に役立つ課題を通じて、やる気が出るリハビリテーションを心がけています。また、日常生活の中で無理なく反復できるよう、動作や練習の方法を丁寧に指導します。

 

リハビリテーション技術

しかし、理論や考え方が立派でも、実際に緊張を緩めたり、動き方を改善したり、手の操作や食べ方・話し方を上達させたりするための技術がなければ、効果を上げることはできません。

私たちは療法士全体の技術を高めるため、年間100時間、新人には150時間におよぶ研修を行っています。実際の現場でも定期的に指導担当者がともにリハビリテーションを行い、よりよい方法を検討・伝達しています。

また、私たちは、他施設の療法士や医師、看護師、介護士、保育士、教師の方々を対象に毎年講習会を開き、私たちの経験や知識を伝えるようにしています。病院だけでなく保育園や学校、介護施設、訪問看護の現場でリハビリテーションの技術を生かした援助や介護をすることで、機能の向上や維持がよりやりやすくなります。

 

「ボバース法」からの科学的進化

2013年にオーストラリアのノバック教授は、脳性まひに対する様々な治療法の効果を詳しく検討し、ボイタ法は「しない方がよい」、ボバース法は「するべきではない」治療であると結論づけました。

この意見は世界中で支持され、今や専門家の間では常識となっています。
しかし、その論文の根拠となったのは、ボバース夫妻が提唱した治療技術の一部を様々なお子さんに対して一様に「ボバース法」として行った1980年代の研究でした。

脳性まひに対する治療の効果(2013年)

これは、いま私たちが提供しているリハビリテーションとは全く違います。
私たちが行っているのは、むしろこの論文で推奨された「目的志向型トレーニング」や「両手動作トレーニング」「家庭療育プログラム」に近いものです。

ボバース夫妻はもともと、全ての患者さんに決まった方法で治療するべきではないと主張していました。
個々の患者さんの状態に応じた個別のリハビリテーションが必要で、その方法は医学や技術の進歩とともに変化していくべきだという考え方を持っていたのです。

1980年代から医療は劇的に進歩し、同じ脳性まひという病名でもその原因や症状は大きく変わっています。また、手術や薬も進歩しており、以前はなかった様々な選択肢が使えるようになりました。

私たちはボバース夫妻の考え方に従い、患者さんの病状に応じて現代の医学を根拠とした個別の治療を提供しています。

ボバース記念病院は、一律の「ボバース法」をする病院ではなく、当時は革新的であったボバース夫妻の考え方を引き継ぐ病院なのです。実際に私たちは、ノバック教授をはじめとする海外の著名な研究者を日本に招き、最新の知見を学んで常に治療方法を進化させるように努力しています。

 

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  1. ボバース記念病院
  2. 小児期発症の疾患に対する治療とリハビリテーション(脳性まひセンター)[2018年10月から]
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