小児科(小児神経科)
診療対象
小児期・青年期発症の運動障害を伴う神経疾患の診断、治療およびリハビリテーション
- 脳性麻痺および運動発達の遅れがある乳幼児の診断、治療、リハビリテーション
- 急性脳炎・脳症、頭部外傷、脳梗塞・脳出血、脳外科手術後の後遺症のリハビリテーション
- 一部の染色体異常症、遺伝性疾患、代謝疾患、脊髄疾患(お問い合わせください)
- 年齢を問わず、成人の方も診療します
- セカンドオピニオンも提供します
- 風邪などの急性疾患の診療、運動障害がない方に対する診療は行いません
特色
- 発達や機能を十分に評価し、病態や生活環境に応じた治療プログラムを提案します
- 乳児期から成人期まで長期にわたる計画的な治療とリハビリテーションを提供します
- 多職種と連携し、リハビリテーション、薬物療法、外科手術など様々な方法を組み合わせた介入を実践します
- 地域の保健所、療育機関、訪問ステーションと連携し、ご家族や療育・保育施設、学校、介護施設、職場に対して適切な関わり方や学習方法、必要な器機についてアドバイスします
- 青年期・成人期以降の生活や社会参加の向上に向けたプログラムを提供します
- 障がいにかかわらずご家族とともに豊かな人生を送れるよう、生涯を通じた関わりを行います
外来診療
2022年度の小児神経外来の年間延べ患者数は4,121人、そのうち初診は200例でした。セカンドオピニオンも含めて全国から紹介を受けています。多くは新生児科、小児科からの紹介で、運動発達の遅れ、脳性麻痺など運動障がいの診断とリハビリテーションが目的でした。小児急性期病院からは急性脳症、脳梗塞、脳出血、頭部外傷などのリハビリテーション目的の紹介も多く、迅速に対応しています。
青年・成人期にリハビリテーションが受けられず運動機能が低下した方、加齢に伴って痛みが強まってきた方の受診が増えており、必要に応じてリハビリテーションを提供しています。入院での集中的なリハビリテーションの適応になる方もいます。また、てんかんや睡眠障害、筋緊張に対する薬物治療、摂食障害の診療なども行います。
診察の折にはしっかりとお話をうかがい、身体の状態を確認して、それぞれの年代に必要な事柄についてきめ細かくお伝えします。
乳幼児期には、どうすれば障害を持った子どもたちの「できること」を広げられるかを真剣に考えます。子どもたちの「できること」を見逃さないように、診察はマットの上で一緒に遊ぶことから始まります。病気の診断や治療も、「できること」をふやして子どもたちがより世界を広げ、成長し、新たな人生の楽しみを見つけるための手段であると位置付けています。治らない障害があっても、リハビリテーションを通じて子ども本来の発達を促し、生活の幅を広げて家庭や学校での生活をより有意義なものにできるよう、お役に立ちたいと考えています。
学童期には日中の大半を過ごす学校での過ごし方や学習援助の方法について一緒に検討します。思春期には運動機能はピークに達しますが、知能、情緒はまだ発達途上ですので、心のケアをしながら巣立ちへの準備を進めます。青年期には社会に出るための様々なスキルを獲得したり、必要な福祉サービスを取り入れたりするための援助を行います。成人期以降には機能を維持しながらよりよい家庭生活、社会生活が営めるよう、必要なリハビリテーションを行います。
入院診療
脳性麻痺などの運動障害に対して、集中リハビリテーションを目的に入院治療を行っています。急性期病院からは、急性脳症・頭部外傷・脳梗塞などに対する早期リハビリテーションを目的に紹介を受けています。2022年度の小児神経科入院は延べ735人でした。そのうち、約80%が脳性麻痺、約15%が急性脳症、頭部外傷、脳梗塞等の後遺症の方でした。
小児病棟(2階)は、主に4歳未満の子どもがご家族と入院する親子病室と単独小児病室とに分かれています。親子入院では集中リハビリテーションとともにご家族への療育指導に重点を置いています。単独入院の子どもたちには保育時間を設定し、楽しみながら入院生活とリハビリテーションを送れるように努めています。
成人病棟(3階)には中学生以上の青年と大人が入院します。思春期には身長や体重の増加、成人期には老化に伴って身体機能が低下し、しばしば歩行や移動がしにくくなったり、身体の痛みが出てきたりします。外来リハビリテーションや日常のケアだけでは十分に対応できないことも多く、入院で集中的な介入が必要になります。理学療法士と作業療法士(必要に応じて言語聴覚士)が協力して様々な角度から評価を行い、効果的な機能回復と痛み等の軽減が得られるよう、協力して関わります。毎日の身体の変化を鋭敏に捉えることでより有効なリハビリテーションが提供でき、装具や機器類を身体にうまく合わせることができます。また、必要に応じて内服薬の整理を行ったり、新たな治療を試みたりすることも可能です。
入院の成果を持続するため、学校の先生や作業所の方、ヘルパーの方などに来ていただき、介助や自主練習の方法をお伝えしています。
新たな治療プログラムの実践
2014年12月より、ボバース記念病院と森之宮病院では、脳性麻痺の方への新たな治療プログラムの実践に取り組んでいます。この治療プログラムでは、入院による集中リハビリテーションと定期的な外来治療を組み合わせて、治療効果の定期的な評価を行ってフィードバックすることを目指しています。
新たな治療プログラムに関する広報誌の記事も合わせてご覧ください。
脳性麻痺の方への新たな治療プログラム構築に取り組む「小児・障がい者リハビリテーション」
医学研究
ボバース記念病院や森之宮病院では、脳性麻痺や小児神経疾患領域での臨床研究も積極的に行っています。2005年~2010年には厚生労働省精神・神経疾患研究を委託され、脳性麻痺の発生要因、治療効果に関する最先端の研究を行いました。2017年からはAMEDの分担研究で早産児のビリルビン脳症の診断・治療ガイドラインの作成に携わりました。その成果は国内外の学会や専門誌で発表されています。
スタッフ構成
常勤医師 8名
日本小児科学会認定 小児科専門医 6名
日本小児科学会認定指導医 2名
日本小児神経学会認定 小児神経専門医 4名
義肢装具等適合判定医 2名
常勤臨床心理士 1名
非常勤臨床心理士 1名
認定施設
小児神経専門医研修関連施設
主な検査・特殊治療
神経画像検査
神経生理学的検査(ビデオ脳波同時記録)
嚥下造影検査
心理発達検査
機能的電気刺激療法
主な紹介元・紹介先施設
大阪発達総合療育センター、あさしお園、吹田市立わかたけ園、豊中市立しいの実学園、高槻市立療育園、藍野療育園、八尾市立いちょう学園、堺市こども療育センター、岸和田市立いながわ療育園、神戸市総合療育センター、にこにこハウス医療福祉センター、西宮市立わかば園、西宮すなご医療福祉センター、尼崎市立たじかの園、宝塚市立療育センターすみれ園、川西さくら園、心身障害児総合医療療育センター、東京都立北療育園、富山県高志通園センター、大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院、愛染橋病院、淀川キリスト教病院、愛仁会高槻病院・千船病院、兵庫県立こども病院、神戸大学医学部附属病院、大阪医科大学附属病院、関西医科大学附属病院、大阪母子医療センター、市立泉佐野病院、市立豊中病院、市立岸和田病院、JCHO大阪病院など
外来医師担当表
予約診療/ご予約のある方
診療時間 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
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診察 |
北井 |
平野(9:30~) |
北井 |
平井 |
荒井(10:00~) |
北井(第1) |
平井(9:30~) |
奥山(10:00~) | 平井(初診 10:00~) (再診 11:00~) |
荒井(第3) (10:00~) |
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診察 |
平野(第1・3・4・5) |
北井(第1・3・4・5) |
荒井(初診 14:00~) |
荒井(14:00~) |
平井 |
|
奥山(初診 14:30~) | 北井(初診 14:00~) |
休診情報
現在、休診情報はありません
※急な休診等もございますので、ご了承ください。
脳性まひ講演会
大道会では、2016年4月より、脳性まひ講演会を開催しています。脳性まひの方とそのご家族を対象に、当法人の医師やリハビリスタッフが講師となり、医療機関と患者さん、ご家族が双方向で交流できる場を目指しています。
スタッフ紹介
障害がある方のよりよい人生のために力を尽くします
1998年にボバース記念病院で小児神経科が誕生して以来、私たちが診療した方は約8,000人に達します。(2023年4月現在)
今までの経験から、ただお子さんの運動機能を高めるだけでは豊かな人生にはつながらないことがわかってきました。自尊心や自主性を育てること、知的な能力をしっかり把握して周囲の理解を得ること、福祉・教育との連携によって社会参加へのステップを踏むことなど、するべきことはたくさんあります。特に思春期には、きめ細やかな対応が欠かせません。
ご本人・ご家族のお話を十分にうかがい、最新の医科学の成果と豊富な経験を基に、よりよい人生を送っていただくための適切な介入とアドバイスを提供します。
ボバース記念病院 院長 荒井 洋 (あらい ひろし) |
プロフィール1987年大阪大学医学部卒業。
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長期的な患者さん・ご家族の生活の質を少しでも高めていきたい。
ボバース記念病院 副院長 北井 征宏 (きたい ゆきひろ) |
大阪大学医学部附属病院で2年間小児神経診療に携わり、リハビリテーション・療育をより専門的に学びたいと考えるようになりました。森之宮病院では、退院後の家庭や学校での生活を含め、長期的な患者さん・ご家族の生活の質を少しでも高められるよう、コメディカルスタッフとともに努力していきたいと思います。 プロフィール2003年大阪大学医学部卒業。
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お子様一人ひとりの生活の質の向上に取り組んでいきます。
平井 聡里 (ひらい さとり) |
リハビリテーションだけでなく、それぞれの障害に合う形でのトータルマネージメントを行いたいと考えています。てんかんや合併症の治療、教育機関への配慮の要請、公的機関と連携した地域の環境設定など、お子さん一人ひとりのQOLが向上するように積極的に取り組んでいきます。 プロフィール1993年近畿大学医学部卒業。
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安心してリハビリテーションに取り組めるようサポートします
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入院される皆様が安心して積極的にリハビリテーションに取り組めるよう、スタッフと力を合わせてサポートします。より楽に、より楽しく日々の生活を過ごし、豊かな人生を送るために必要な課題や適切なサポートを、患者さんとじっくり向き合い、一緒に考えていきたいと思っています。 プロフィール2011年滋賀医科大学卒業。 |
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よりよい明日のため、その子にとって1番となることを
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チーム医療とは、医療を提供する側だけのものではなく、提供される側である患者様やご家族を含むものだと思います。 プロフィール2013年大阪大学医学部卒業。
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患者さん、ご家族に寄り添った丁寧な診療を行います
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急性期病院で小児科診療を行う中で、リハビリテーション・療育は、患者さんのQOLの改善だけではなく、家庭や地域で生活を行う中で欠かせない分野であると感じるようになりました。 ご本人、ご家族と成長の喜びを分かち合いながら、地域社会の中で豊かに暮らしていけるようにサポートします。 プロフィール2015年大阪大学医学部卒業。
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患者さんとご家族と一緒に、よりよい生活を考えていきます
中井 理恵(なかい りえ)
急性期病院で診療に携わる中で、より長期的で生活に密着したサポートが重要だと考えるようになりました。患者さん・ご家族が楽しく豊かに生活できるよう、スタッフや地域の方々と連携して、サポートを提供していきたいと考えています。
プロフィール
2010年大阪大学医学部卒業。 市立池田病院、大阪 医学研究所北野病院、大阪母子医療センター、大阪大学医学部附属病院、東京都医学総合研究所を経て、2024年4月からボバース記念病院小児科(小児神経科)勤務。
- 日本小児科学会認定 小児科専門医
- 日本小児神経学会認定 小児神経専門医
- 小児慢性特定疾病指定医
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小児科の後期研修を終えて進路を考えた際に、患者さんと長く関わる医療に携わりたいと思いリハビリテーションや療育の分野を選択しました。 病気のみではなく患者さんご自身と、家族を含めた生活環境まで含めた総合的な視点で、今後の人生をより良くできるようお手伝いできればと思っています。 プロフィール2019年徳島大学医学部卒業。
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