お知らせ
第297回健康教室開催報告を掲載しました(『おなかの不調はありませんか』~腹部救急と消化器癌のお話~)
2015.09.24
森之宮病院 診療部 外科部長 兼 救急・災害医療部長 大沢 常秀医師より
『おなかの不調はありませんか』~腹部救急と消化器癌のお話~について講義がありました。
外科の仕事(対応する病気)は
①表面の傷の手当(やけど、擦過傷、裂傷など)
②体の表面の出来物の手当(粉瘤、脂肪腫、毛嚢炎)
③腹壁の病気の整復(脱腸、腹壁ヘルニア)
④肛門の病気の治療(痔核、痔瘻、脱肛)
⑤栄養管理のための胃瘻造設
⑥腹痛、腹部救急疾患の治療
⑦腹部消化器がんの治療
手術が必要になった病気は全1,369件で
①ヘルニア(217件)②胆嚢炎・胆石症(206件)③大腸癌(202件)④虫垂炎(127件)⑤胃癌(103件)
⑥腸管穿孔(59件)⑦腸閉塞(44件)⑧その他の癌(42件)⑨その他(42件)となっている。
手術が必要になるのは、①詰まる(腸閉塞・大腸閉塞)②破れる(胃穿孔・腹腔内出血)
③腐る(壊死性胆嚢炎・腸間膜動脈閉塞)で、
上腹部痛をきたす主な疾患は①胃・十二指腸潰瘍(ストレス・ピロリ菌感染)②胆嚢炎(胆石・感染)
③嚢炎(アルコール・胆石・その他)④腸間膜血栓症(糖尿・不整脈・動脈硬化)などがある。
日本の死因のトップは悪性新生物(癌)で、約3人に1人が癌で亡くなっている。
中でも患者数は胃癌がトップで年間約10万人が胃癌にかかり、癌全体の19%を占める。
特に高齢者の増加により、胃癌の高齢化が起こり、70歳以上になると50歳に比べ5倍以上になります。
胃癌の症状は①小さな腫瘍の場合、ほとんど無症状②癌によるびらんで痛みや不快感吐気
③大きくなると通過障害で、食欲不振、嘔吐、出血で吐血、ふらつきの貧血症状、体重減少など
④大きくなると上腹部にしこりを触れます⑤肝臓や肺、腹膜に転移すれば、黄疸、全身倦怠、咳嗽、
呼吸困難、腹水、腸閉塞などの末期症状をきたす。
右下腹部痛をきたす疾患は、
①詰まる(虫垂結石・大腸癌・癒着腸閉塞)
②破れる(虫垂穿孔・憩室穿孔・動脈瘤破裂)
③腐る(虫垂壊死・捻転絞扼・卵巣捻転)
④炎症(虫垂炎・腸炎・憩室炎・卵管炎)などがある。
虫垂炎は、大腸の入口の盲腸からでた先端の閉じた5~10cmの腸で、腹痛で手術となる疾患で一番多く、
15人に1人が発病する。
左下腹部痛をきたす疾患は、①詰まる(便秘・大腸癌・尿管結石)②破れる(大腸穿孔・憩室穿孔・
動脈瘤破裂)③腐る(虚血性腸炎・捻転絞扼・卵巣捻転)④炎症(腸炎・憩室炎・卵管炎)などがある。
日本人の大腸癌の発生率は、直腸が35%で最も多く、S状結腸34%、上行結腸11%、横行結腸9%、
盲腸6%、下行結腸5%となっている。
大腸癌は肥満・飲酒・肉食・家系などが危険因子で大きくなるまで症状がなく、悪性度の高い場合は
肝臓・肺などへ転移する。遠隔転移すると5年の生存は困難な為、早期発見の為、大腸の検査が重要で、
お腹に不調があれば医師にご相談下さいと締めくくられました。
次回:10月22日(木) 13:30より大道クリニックにて開催予定
演題:『閉塞性睡眠時無呼吸症候群』
講師:ボバース記念病院 歯科診療部 歯科医師 青野 陽